夜のコーヒーをデカフェに替える意味
夕食後にもコーヒーを飲みたいものの、夜の睡眠への影響が気になる。そんなときに選択肢になるのが、デカフェやカフェインレスと表示されたコーヒーです。
デカフェは、通常のコーヒーよりもカフェインが少なくなるように作られています。そのため、夜のコーヒーをデカフェに替えれば、味や香りを楽しみながらカフェインの摂取量を減らせます。
ただし、デカフェはカフェインが完全に入っていないコーヒーとは限りません。商品によっては少量が残っています。
では、通常のコーヒーと比べてどの程度少ないのでしょうか。また、少量でもカフェインが入っているなら、夜に飲む意味はあるのでしょうか。
デカフェにも少量のカフェインは残っている
デカフェは、もともとカフェインを含むコーヒー豆から、その大部分を取り除いて作られます。
米国食品医薬品局(FDA)によると、約240ミリリットルのデカフェコーヒーに含まれるカフェインは、一般に2~15ミリグラムほどです。一方、同程度の通常のコーヒーには、商品や淹れ方にもよりますが、100ミリグラム前後含まれることがあります。デカフェにもカフェインは残っているものの、通常のコーヒーより大幅に少ないことが分かります。
ただし、「デカフェ1杯には必ず何ミリグラム」と決まっているわけではありません。豆の種類や製造方法、抽出方法、カップの大きさによって変わります。
カフェイン量が商品に表示されている場合は、その数値を確認するのが確実です。表示がなくても、通常のコーヒーをデカフェに替えれば、多くの場合はカフェインの摂取量を大きく減らせます。
デカフェは、カフェインを完全になくすためというより、コーヒーを飲む習慣を残しながら摂取量を減らすための飲み物と考えると分かりやすいでしょう。
デカフェとカフェインレス、ノンカフェインの違い
店頭では、デカフェのほかに「カフェインレス」や「ノンカフェイン」という表示も見かけます。
デカフェは英語の「decaffeinated」を短くした言葉で、もともと含まれていたカフェインを減らしたものを指します。カフェインレスも、日本では同じような意味で使われることが多い言葉です。
これに対して、ノンカフェインは、麦茶やルイボスティーのように、原料にもともとカフェインを含まない飲み物に使われることが多くなっています。
つまり、デカフェやカフェインレスは「カフェインを減らしたもの」、ノンカフェインは「もともとカフェインを含まないもの」という違いです。
ただし、表示の使われ方は商品や国によって異なります。カフェインをできるだけ避けたい場合は、名称だけでなく、パッケージにカフェイン量や削減率が書かれていないかを確認した方がよいでしょう。
コーヒー豆からカフェインをどう減らすのか
デカフェは、コーヒー豆を焙煎する前の段階でカフェインを取り除いて作られます。
主な方法には、水を利用する方法、二酸化炭素を利用する方法、有機溶媒を利用する方法などがあります。いずれも、コーヒーの味や香りに関わる成分をできるだけ残しながら、カフェインを減らすことを目的としています。
製造方法を見て、「水を使っているから安全」「溶媒を使っているから危険」と単純に判断することはできません。製造工程では、使用できる方法や製品に残る量に基準が設けられています。
デカフェを睡眠のために選ぶ場合、製造方法を細かく比較するより、飲んだときの味と、最終的に含まれるカフェイン量を確認する方が実用的です。
製法によって風味に違いが出るため、通常のコーヒーから初めて替えるときは、いくつかの商品を試して好みに合うものを探すと続けやすくなります。
デカフェなら夜に飲んでも大丈夫なのか
デカフェを夜に飲んでもよいかという問いに、全員に共通する時刻や杯数で答えることはできません。
ただ、通常のコーヒーを同じ量だけ飲む場合と比べれば、デカフェの方がカフェインの摂取量を大幅に抑えられます。夜のカフェインを減らしたい人にとって、置き換える意味は十分にあります。
気をつけたいのは、「少量残っているなら通常のコーヒーと変わらない」と考えないことです。たとえば、約100ミリグラムを含む通常のコーヒーと、2~15ミリグラムほどのデカフェでは、摂取量に大きな差があります。
反対に、「デカフェだから量を考えなくてよい」とするのも適切ではありません。1杯あたりの量が少なくても、杯数が増えればカフェインの合計量は増えます。
カフェインへの反応が強い人や、デカフェに替えても寝つきへの影響を感じる人は、飲む時刻を早めるか、麦茶などカフェインを含まない飲み物へ替える方法もあります。
デカフェは「夜でも必ず問題なく飲めるコーヒー」ではなく、通常のコーヒーより夜に取り入れやすい選択肢です。
寝る直前はカフェイン以外にも目を向ける
夜に飲み物をとる場合は、カフェインだけでなく量にも気をつける必要があります。
寝る直前に大きなマグカップで何杯も飲めば、夜中にトイレへ行きたくなり、睡眠が途中で途切れることがあります。デカフェに替えても、飲む水分量まで減るわけではありません。
夜にコーヒーの味を楽しみたいだけなら、小さめのカップにする方法があります。カフェインと水分の両方を抑えられるため、寝る前にも調整しやすくなります。
また、デカフェに替えても睡眠の悩みが変わらない場合、原因がカフェインではないことも考えられます。就寝時刻が日によって変わる、夜に酒を飲む、仕事のことが気になって寝つけないなど、睡眠にはさまざまな要因が関係します。
デカフェに替えてみることは、遅い時間のカフェインが睡眠に関係しているかを確かめる一つの方法です。
夜のカフェインを減らすにはどうすればよいか
夜のカフェインを減らすために、朝からすべてのコーヒーをデカフェに替える必要はありません。
朝や昼は通常のコーヒーを飲み、夕方以降だけデカフェへ替える方法があります。現在の習慣を大きく変えずに、遅い時間のカフェインを減らせます。
デカフェの味に慣れない場合は、通常のコーヒーと混ぜる方法もあります。通常の豆とデカフェの豆を半分ずつ使えば、味を残しながらカフェイン量を抑えられます。
コーヒーを1日に何杯も飲む人は、後半の数杯をデカフェへ替えるだけでも摂取量を減らせます。夜遅くなったら、デカフェではなく、麦茶やカフェインを含まないハーブティーへ替えてもよいでしょう。
カフェイン量が気になるときは、飲む種類だけでなく、カップを小さくする、杯数を減らす、飲む時刻を少し早める方法もあります。
デカフェに替えるか、量を減らすか、時刻を早めるか。どれか一つに絞る必要はなく、生活に取り入れやすい方法を組み合わせれば十分です。
デカフェに替えて睡眠が変わるか試してみる
夜に通常のコーヒーを飲んでいる人は、一定期間デカフェへ替えて、睡眠に変化があるかを見る方法があります。
確認するのは、寝つきだけではありません。夜中に目が覚める回数や睡眠時間、翌朝の感覚も普段と比べます。
一晩だけでは、仕事の忙しさや飲酒、就寝時刻などの影響と区別しにくいため、しばらく続けてみた方が判断しやすくなります。
デカフェへ替えて眠りやすくなれば、夜に摂取していたカフェインが関係していた可能性があります。変化がなければ、コーヒー以外の要因にも目を向けます。
細かな記録をつける必要はありません。「夜の通常のコーヒーをデカフェへ替える」という一つの条件だけを変え、普段との違いを見るだけでも十分です。
まとめ
デカフェは、通常のコーヒーよりカフェインを大幅に減らしたコーヒーです。完全にゼロとは限りませんが、夜にもコーヒーを飲みたい人にとって、カフェインの摂取量を抑える現実的な選択肢になります。
商品によってカフェイン量は異なるため、表示されている場合は含有量や削減率を確認します。少量のカフェインも避けたい場合は、もともとカフェインを含まない飲み物を選ぶ方法もあります。
夜の通常のコーヒーをデカフェへ替える、カップを小さくする、杯数を減らす、飲む時刻を早める。こうした方法を組み合わせれば、コーヒーをやめなくてもカフェインは減らせます。
デカフェに替えても睡眠が変わらない場合は、カフェイン以外の要因も考える必要があります。まずは夜の1杯を置き換え、普段との違いを確かめるところから始めるとよいでしょう。
参考URL
- 米国食品医薬品局(FDA):通常のコーヒーとデカフェに含まれるカフェイン量について説明した資料
Spilling the Beans: How Much Caffeine is Too Much?
https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/spilling-beans-how-much-caffeine-too-much - 全米コーヒー協会(NCA):デカフェのカフェイン量と主な製造方法について説明した資料
Decaf Coffee
https://www.aboutcoffee.org/beans/decaf-coffee/ - 米国化学会(ACS):デカフェの製造方法と有機溶媒の安全性について解説した資料
How is coffee decaffeinated, and is it safe to drink?
https://cen.acs.org/food/food-science/coffee-decaffeinated-safe-drink/102/i27
