睡眠不足が続くと体調を崩しやすいのはなぜ?睡眠と免疫力の関係

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忙しい時期ほど体調を崩しやすい理由

仕事が忙しい時期に限って、風邪をひく。

大きな仕事が終わったあとに、急に体調を崩す。

以前より、疲れが抜けるまでに時間がかかる。

こうした不調に、心当たりはないでしょうか。

その背景の一つに、体を守る免疫の働きの低下があります。

免疫とは、ウイルスや細菌などから体を守る仕組みです。
この働きが十分に保たれていることで、私たちは日々、体調を大きく崩さずに過ごすことができます。

しかし、免疫の働きが弱まると、体に入ってきたウイルスや細菌を抑えきれず、風邪や感染症などの体調不良につながります。

睡眠不足は、この免疫の働きとも深く関わっています。

睡眠不足が続くと、体を守る仕組みも整いにくくなります。
その結果、忙しい時期ほど体調を崩しやすい、疲れが抜けにくい、風邪をひきやすいといった不調につながります。

つまり、睡眠不足は、体を外敵から守る免疫の働きにも影響し、体調を崩しやすくする要因の一つになります。

睡眠不足は、体を守る免疫の働きにも影響する

免疫の働きを考えるとき、中心になるのが免疫細胞です。

免疫細胞とは、体の中に入ってきたウイルスや細菌などを見つけ、体を守るために働く細胞のことです。

私たちの体の中には、さまざまな種類の免疫細胞があります。

たとえば、体に入ってきた異物を見つける細胞、異物を取り込んで処理する細胞、ほかの免疫細胞に知らせる細胞、ウイルスに感染した細胞を攻撃する細胞などがあります。

免疫細胞の代表的なものとして、白血球があります。

たとえば、風邪のウイルスが体に入ってきたとします。

このとき、免疫細胞が早い段階でウイルスを見つけ、広がる前に抑え込めれば、ウイルスは大きく増えず、症状はほとんど出ません。

一方で、ウイルスが増えると、免疫細胞はそれを抑えようとして反応を強めます。
その反応によって炎症が起こり、喉の痛み、鼻水、発熱、だるさなどの症状として現れます。

ここで大切なのは、症状は単に「ウイルスが暴れているから出る」ということではありません。
体がウイルスを抑えようとして免疫反応を起こし、その結果として症状が現れます。

睡眠不足が続くと、この免疫の働きにも影響が出ることが研究で示されています。

2012年に学術誌『Pflügers Archiv – European Journal of Physiology』に掲載された、ルシアナ・ベセドフスキー(Luciana Besedovsky)氏、タニヤ・ランゲ(Tanja Lange)氏、ヤン・ボルン(Jan Born)氏らの研究では、睡眠と免疫機能の関係が整理されています。

この研究では、睡眠が免疫細胞の働きや、サイトカインなど免疫に関わる物質の動きと関係していることがまとめられています。
サイトカインとは、免疫細胞の働きに関わるたんぱく質の一種です。

睡眠不足によってこうした働きに変化が起こると、体を守る反応が十分に働きにくくなることがあります。

その結果、ウイルスを早い段階で抑えにくくなり、風邪などの感染症を発症しやすくなります。

睡眠不足が続くと体調を崩しやすくなる背景には、こうした免疫の働きの変化が関係していると考えられます。

睡眠時間が短い人ほど風邪を発症しやすいという研究

睡眠不足が免疫の働きに関わることは、さまざまな研究で示されています。
その中でも分かりやすいのが、睡眠時間と風邪の発症しやすさを調べた研究です。

2015年に学術誌『Sleep』に掲載された、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のアリック・プラーター(Aric A. Prather)氏らの研究では、健康な成人を対象に、日常の睡眠時間と風邪の発症しやすさが調べられました。

この研究では、参加者の睡眠時間を、自己申告だけでなくアクチグラフという機器を使って測定しました。アクチグラフとは、手首などに装着し、体の動きから睡眠や活動の状態を調べる機器です。

そのうえで、参加者を風邪の原因となるライノウイルスにさらし、その後に風邪を発症するかどうかを調べています。

その結果、睡眠時間が7時間以上だった人と比べて、睡眠時間が5時間未満だった人では、風邪を発症した割合が高く、その差は統計上、約4.5倍と報告されています。また、睡眠時間が5時間以上6時間未満だった人でも、約4.2倍高いことが報告されています。

睡眠不足が続くと、炎症反応が長引きやすくなる

免疫は、強ければ強いほどよいというものではありません。

体を守るためには、ウイルスや細菌に反応する力が必要です。
しかし、その反応が必要以上に強くなったり、長く続いたりすると、今度は体への負担になります。

ここで関係するのが、炎症反応です。

炎症反応とは、免疫細胞が病原体に反応したときに起こる、体を守るための反応です。

たとえば、ケガをした場所が赤くなる、熱を持つ、腫れる、痛みが出る。
こうした反応は、炎症反応の分かりやすい例です。

風邪をひいたときにも、体の中では免疫細胞がウイルスに反応しています。
その反応によって炎症が起こり、喉の痛み、鼻水、発熱、だるさなどの症状として現れます。

炎症反応は、体を守るために必要な反応です。
病原体を抑えるために免疫細胞が集まり、体の中で防御反応が起こります。

ただし、炎症反応は起これば起こるほどよいものではありません。

本来、炎症反応は必要なときに起こり、役目を終えたら少しずつおさまっていく必要があります。
ところが、炎症反応が長引くと、体に負担をかけることがあります。

炎症というと、赤みや腫れのように外から見えるものを思い浮かべるかもしれません。
しかし、炎症は必ずしも目に見える形で起こるとは限りません。

体の中で、外からは見えない形で続いている炎症もあります。

サイトカインとは、免疫細胞の働きに関わるたんぱく質の一種です。
体の中で異常が起きたとき、免疫細胞に反応を促したり、炎症の強さに関わったりします。

つまり、睡眠不足が続くと、体を守るために必要な炎症反応が、必要以上に強くなったり、長引きやすくなったりします。

炎症が長引くと、体がだるい、疲れが抜けにくい、体調が不安定になるといった状態につながることがあります。

炎症反応は、体を守るために必要な反応です。
しかし、必要以上に長く続くと、体への負担にもなります。

睡眠不足は、免疫の働きだけでなく、こうした炎症反応にも関わると考えられています。

まとめ:睡眠は、体を守る力を支える時間

睡眠不足が続くと、体を守る免疫の働きに影響が出やすくなります。

免疫は、白血球をはじめとする免疫細胞が中心となって働き、体に入ってきたウイルスや細菌を見つけ、広がらないように反応します。

睡眠時間が短い人ほど風邪を発症しやすいことを示した研究もあり、睡眠不足は体調の崩しやすさと関係する重要な要素と考えられます。

また、睡眠不足は免疫の働きだけでなく、炎症反応にも関わります。

炎症反応は、体を守るために必要な反応です。
しかし、必要以上に強くなったり、長引いたりすると、体への負担にもなります。

今回の記事では、睡眠不足と免疫の関係を中心に見てきました。
では、炎症反応が慢性的に続くと、体の中では何が起こるのでしょうか。

慢性炎症とは何か、睡眠不足が全身の血管と細胞にどのような影響を与えるのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

→  慢性炎症とは?睡眠不足が全身の血管と細胞に与える負担

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