脱・睡眠迷子!科学的に「自分に合う睡眠時間」を見つける3つの方法

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7時間か8時間かで迷う前に、世間の平均ではなく自分の体の反応から適正睡眠時間を探る

「7時間がいいのか、8時間がいいのか、それとももっと必要なのか」

睡眠について調べると、いろいろな数字が出てきます。以前の記事「7時間?8時間?科学と遺伝子が導き出した「最適な睡眠時間」の結論」では、理想の睡眠時間に関するさまざまな根拠を比べ、「最適な睡眠時間は遺伝子や年齢によって人それぞれ違う」という結論をお伝えしました。万人に共通する完璧な数字はありません。いっぽうで、米国疾病予防対策センター(CDC)は18〜60歳の大人に7時間以上、米国国立心肺血液研究所(NHLBI)は大人に7〜9時間を目安として示しています。

では、自分にとっての「ちょうどいい睡眠時間」は、どうやって見つければよいのでしょうか。

毎日の予定に追われていると、自分に合う睡眠時間をゆっくり確かめる機会はなかなかありません。朝から疲れが残る。昼すぎに眠くなる。会議で集中が切れる。健康診断の数値も少し気になってくる。けれど、病院に行くほどではない。そんな状態なら、世間の平均ではなく、自分の体に合う睡眠時間を知ることが大切です。

今回は、睡眠科学の考え方をもとに、自分に合う睡眠時間を探るための現実的な3つの方法をご紹介します。

平日と休日の差が大きいなら、睡眠不足がたまっている可能性がある

具体的な方法に入る前に、まず見てほしいのが「平日と休日の睡眠時間の差」です。

平日は6時間しか寝ていないのに、休日は目覚ましなしで9時間近く寝てしまう。こういう状態なら、平日の睡眠が足りていない可能性があります。ハーバード大学睡眠医学部門の一般向け解説でも、平日と休日の睡眠の差が大きいなら、平日の睡眠不足を疑うべきだと説明されています。

休日に長く寝ること自体が悪いわけではありません。ただ、毎週のように大きな差が出ているなら、それは「休日にしっかり休めている」のではなく、「平日に足りなかった分を取り戻そうとしている」と考えたほうが自然です。

米国国立心肺血液研究所(NHLBI)は、睡眠不足は借金のように積み重なる「睡眠負債」として説明しています。さらに、昼寝は一時的な助けにはなっても、夜の睡眠のすべてを置き換えるものではないとしています。

ここで大事なのは、休日の寝だめだけで安心しないことです。まずは、「今の平日の睡眠時間は、自分にとって足りているのか」を疑うところから始めたほうがよいです。

方法1:連休を使って「目覚ましなし睡眠実験」をする

自分に合う睡眠時間を知る方法として、もっともわかりやすいのが、長期休暇を使った「目覚ましなし睡眠実験」です。

やり方はシンプルです。ゴールデンウィークや年末年始など、早起きを強いられない数日間に、目覚まし時計をかけず、自然に目が覚めるまで眠る生活を続けてみます。

最初の1〜2日は、かなり長く眠るかもしれません。それは、それまでにたまっていた睡眠不足を取り戻そうとしている可能性があります。ハーバード大学睡眠医学部門の解説でも、休暇中に数日自由に眠ることで、自分に必要な睡眠時間の目安が見えやすくなると説明されています。ハーバード大学睡眠医学部門は、遺伝的な個人差はあるものの、多くの大人は1日あたり7.5〜8.5時間ほどで最もよく機能しやすいとも説明しています。

数日続けるうちに、睡眠時間が少しずつ落ち着いてきて、毎日だいたい同じくらいの時間で自然に目が覚めるようになることがあります。そこまでいけば、その時間は、あなたに合う睡眠時間を知る有力な手がかりになります。

ここで大切なのは、「1日だけ長く寝た」「たまたま7時間半で目が覚めた」といった単発の結果で決めないことです。数日間続けてみて、時間が安定してくるかを見るほうが参考になります。

方法2:忙しい人は「就寝時間を少しずつ前倒しする」

「まとまった連休は取れない」という人も多いはずです。その場合は、日常の中で少しずつ探る方法があります。

それが、就寝時間を少しずつ前倒しする方法です。

起きる時間を遅らせるのは、仕事があると難しいことが多いです。そこで、まずは普段より30分早くベッドに入ることから始めます。これを2〜3日続けてみて、朝の目覚めや日中の眠気を確認します。

まだ午前中からぼんやりする。午後に強い眠気が来る。集中が続かない。そうした状態があるなら、さらに15分ほど早めてみます。

このやり方のよいところは、「いきなり1時間早く寝る」といった無理をしなくてよいことです。少しずつ前にずらしながら、自分が日中にいちばん安定して過ごせる睡眠時間を探っていけます。

米国疾病予防対策センター(CDC)は、7時間未満の睡眠は不足睡眠として扱っており、睡眠不足は日中の機能に影響しうると説明しています。ハーバード大学睡眠医学部門も、眠気や日中の働きやすさは、自分に必要な睡眠を見極める重要な手がかりだとしています。

たとえば、朝のだるさが減った、会議で集中しやすくなった、昼すぎの眠気が軽くなった。こうした変化が出てくるなら、その方向は合っている可能性があります。

方法3:「睡眠日誌」をつけて、自分の眠りを見える化する

感覚だけでは分かりにくい人には、「睡眠日誌」をつける方法が向いています。

やることは難しくありません。1〜2週間ほど、ベッドに入った時間、朝起きた時間、夜中に目が覚めたか、朝のすっきり感、日中の眠気、その日の気分や仕事の調子を記録します。

これを続けるだけでも、自分の傾向がかなり見えてきます。

たとえば、7時間半寝た翌日は調子がよい。6時間を切ると午後に強い眠気が出る。寝る時間が遅い日は翌朝のだるさが強い。こうした「自分だけの法則」が見えてくると、世間の平均より、自分のデータを信じやすくなります。

米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)は、睡眠は脳や体の働きに広く関わる複雑で動的な過程だと説明しています。だからこそ、睡眠時間だけでなく、翌日の状態も合わせて見ることが大切です。

「90分サイクル」には縛られすぎない

睡眠の話ではよく、「90分周期で起きるとすっきりする」と言われます。

完全に間違いとは言えませんが、これを厳密なルールのように考える必要はありません。米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)は、睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠をくり返し、1晩に複数回の周期があると説明していますが、毎回きっちり90分で固定されるわけではありません。

そのため、「6時間なら4サイクルだから正解」「7時間半なら完璧」といった考え方に縛られすぎると、かえって睡眠が数字合わせになってしまいます。

それより大切なのは、自分に必要な睡眠時間をまず確保すること、そして毎日の寝る時間と起きる時間を大きく乱しすぎないことです。

まとめ:世間の「何時間」より、自分の体の反応を見る

今回ご紹介した3つの方法に共通しているのは、世間の平均ではなく、自分の体の反応を基準にするということです。

「7時間が正解」
「8時間が最強」
「90分周期で起きるべき」

こうした数字は、あくまで目安です。私たちはロボットではなく、それぞれ違う体質、違う生活、違う負担の中で生きています。

だから見るべきなのは、数字そのものではなく、休日に大きく寝だめしていないか、日中に強い眠気が出ていないか、集中力や気分が崩れていないか、少し睡眠を増やしたときに調子がよくなるか、といった自分の体から出ているサインです。

まずは今夜から、就寝時間を30分だけ前倒ししてみる。あるいは1週間だけ、睡眠日誌をつけてみる。それだけでも、自分に合う睡眠時間の輪郭はかなり見えてきます。

そして、自分に合う睡眠時間を考えるうえで、もう一つ知っておきたいのが、「睡眠の質が良ければ、睡眠時間は短くても大丈夫なのか」という点です。

睡眠時間と健康リスクの関係については、以下の記事で詳しく解説しています。

→ 「質が良ければ短眠でもいい」は危ない。科学で見えてきた睡眠時間と死亡リスクの関係

参考URL

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